
相続は、人生の大きな出来事の一つです。しかし、中には、相続を放棄したいと考える方もいらっしゃるでしょう。相続放棄には、様々な手続きが必要となります。
ご家族の不幸な出来事の後、相続手続きに直面し、心身ともに疲れている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、相続放棄申述書について、その作成から提出までの流れを詳しく解説します。
相続放棄申述書とは
相続放棄申述書とは、相続を放棄したい場合に家庭裁判所に提出する書類です。相続放棄とは、被相続人の財産だけでなく、債務も全て放棄することを意味します。
相続放棄は、一度行うと原則として取り消すことができません。
【相続放棄を検討したほうがいいケース】
- 被相続人の負債が多い場合:相続することで、被相続人の借金を負うことになります。
- 相続財産よりも負債が多い場合:相続しても、財産よりも借金の方が多ければ、損をする可能性があります。
- 相続手続きが煩雑で、精神的な負担が大きい場合:相続手続きは、時間と労力を要する手続きです。
【メリット】
- 被相続人の債務を負うことを回避できる。
- 相続手続きの煩わしさを避けることができる。
【デメリット】
- 相続財産を一切受け継ぐことができない。
- 一度放棄すると、原則として取り消すことができない。
相続放棄申述書は自分で書ける
相続放棄申述書は、ご自身で作成することは可能です。しかし、いくつかの注意点があります。
【自分で作成する場合のメリット】
- 司法書士に依頼するよりも、費用を抑えることができます。
- 手続きの流れを理解することができます。
【自分で作成する場合のデメリット】
- 相続法は専門的な知識が必要であり、誤った記載があると手続きが認められない可能性があります。
- 必要な書類を揃えたり、裁判所へ提出したりと、手間と時間がかかります。
- 誤った手続きをしてしまうと、後々トラブルに発展する可能性があります。
相続放棄申述書の書き方
相続放棄申述書は、相続を放棄したい場合に家庭裁判所に提出する書類です。専門的な知識が必要な書類ですので、ご自身で作成する場合は、十分に注意が必要です。
【相続放棄申述書を作成する際の注意点】
- 期限:相続開始を知った日から3ヶ月以内に手続きを行う必要があります。
- 内容の正確性:法律に基づいた正確な内容で作成する必要があります。
- 形式:所定の様式を使用する必要があります。
相続放棄申述書に記載する主な事項
申述人 | 相続を放棄する人の情報(氏名、住所など) |
被相続人 | 亡くなった方の情報(氏名、住所など) |
相続開始を知った日 | 相続開始を知った日付 |
放棄の理由 | 相続を放棄する理由(例:債務が多いなど) |
相続財産の概略 | 相続財産の内容(不動産、預金など)を簡単に記載 |
インターネットや書籍などで、相続放棄申述書の書き方に関する情報が多数公開されています。
しかし、個々のケースによって必要な情報や記載内容は異なるため、必ずしも同じ書式で作成できるわけではありません。
相続放棄申述書の作成手順
- 家庭裁判所の調査:管轄の家庭裁判所を調べ、必要な書類などを確認します。
- 様式入手:家庭裁判所で所定の様式を入手するか、インターネットからダウンロードします。
- 必要事項の記入:上記で挙げた事項を漏れなく正確に記入します。
- 添付書類の準備:戸籍謄本、住民票、遺産分割協議書(ある場合)など、必要な書類を準備します。
- 提出:作成した申述書と添付書類を、管轄の家庭裁判所に提出します。
相続放棄申述書の入手方法
相続放棄申述書は、家庭裁判所で所定の用紙を入手することができます。ただし、家庭裁判所の窓口によって、用紙の入手方法や必要な手続きが異なる場合があります。
家庭裁判所の窓口で直接入手する
亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所の窓口に直接行き、相続放棄申述書を請求します。
この場合、必要な書類や手続きについて、窓口の職員から直接説明を受けることができます。
家庭裁判所のホームページからダウンロードする
多くの家庭裁判所では、ホームページ上で相続放棄申述書をダウンロードできるようになっています。
裁判所のホームページで「相続放棄申述書」と検索するか、「様式」などのページから探してみましょう。
司法書士に依頼する
司法書士に相続放棄の手続きを依頼する場合、司法書士が用意した申述書を使用することも可能です。
【司法書士とは】
司法書士は、国民の権利や義務に関する権利義務証明書を作成したり、不動産登記などの権利に関する登記申請を行うことを業務とする国家資格者です。特に、相続に関する手続きにおいては、その専門性が高く、多くの人の頼りになる存在となっています。
相続放棄申述書の必要書類
相続放棄申述書を作成する際に必要な書類は、状況によって異なりますが、一般的に以下の書類が必要となります。
相続放棄申述書 | 家庭裁判所で定められた所定の用紙です。 |
被相続人の住民票除票または戸籍附票 | 被相続人の最後の住所地の役場で取得します。 |
申述人の戸籍謄本 | 相続を放棄する人の戸籍謄本です。 |
被相続人の戸籍謄本 | 被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本が必要です。 |
収入印紙 | 申述書に貼付する収入印紙が必要です。金額は裁判所によって異なります。 |
切手 | 返信用封筒に貼付する切手が必要です。 |
【その他必要な書類】
- 遺産分割協議書:遺産分割協議が行われている場合は、協議書が必要です。
- 委任状:代理人が手続きを行う場合は、委任状が必要です。
- 印鑑証明書:申述人の印鑑証明書が必要です。
相続放棄申述書を作成・提出時の注意点
相続放棄申述書の作成・提出は、専門的な知識が必要な手続きであり、間違えると取り返しのつかないことになりかねません。そのため、慎重に進める必要があります。
【期限厳守】
相続開始を知った日から3ヶ月以内に手続きを行う必要があります。期限を過ぎると、相続が開始されたとみなされ、相続放棄ができなくなる可能性があります。
【内容の正確性】
記載事項に誤りがあると、申述が無効になる可能性があります。特に、被相続人や申述人の情報、相続開始を知った日などは、正確に記載しましょう。
【必要な書類の提出】
戸籍謄本、住民票など、必要な書類を漏れなく提出しなければなりません。
【管轄裁判所の確認】
亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出する必要があります。
【専門用語】
法律用語が多く使用されるため、専門用語の意味を理解しておくか、専門家に相談しましょう。
相続放棄申述書の代筆について
相続放棄申述書は、ご自身で作成することも可能ですが、専門的な知識が必要な書類であり、誤った記載があると手続きがスムーズに進まない可能性があります。そのため、司法書士などの専門家に依頼するのが一般的です。
【代筆を依頼できる専門家】
- 司法書士: 相続手続きに精通しており、正確な申述書を作成することができます。
- 行政書士: 司法書士と同様に、行政手続に関する専門家です。
- 弁護士: 法律に関する専門家であり、複雑なケースに対応できます。
【代筆してもらうメリット】
- 専門家の知識:専門家であれば、法律の知識に基づいた正確な書類を作成できます。
- 時間短縮:自分で作成する手間が省け、短時間で手続きを進めることができます。
- トラブル防止:誤った記載によるトラブルを未然に防ぐことができます。
【認知症の場合は代筆不可】
認知症の方が判断能力を十分に持っていないと判断された場合は、家庭裁判所によって成年後見人が選任されます。この場合、成年後見人が代筆することになります。
相続放棄申述書の作成・提出は専門家に依頼しよう
相続放棄は、人生において大きな決断を伴う手続きです。複雑な法律知識が必要であり、間違えると取り返しのつかない事態になる可能性もあります。
そのため、相続放棄申述書の作成・提出は、専門家である司法書士に依頼することが一般的です。
もちろん、多少の費用はかかりますが、「書類の用意・作成・提出のプロセスを丸投げできる」と考えれば、価値のある支出とみることもできます。「手間と時間の節約をお金で買う」というイメージですね。
司法書士の選び方のポイントは、なんといっても明朗会計であることです。具体的に費用がわかれば、予算の検討がしやすく、依頼するかどうかを合理的に判断できます。
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