
「相続登記にかかる費用ってどれくらいなのだろう?」
「専門家に依頼すると、どれくらいの費用になるの?」
「本当は専門家に任せたいのだが、予算が足りるか心配」
このような疑問や悩みをもつ方に向けて、これまで相続登記の相談を数えきれないほど受けてきた札幌大通遺言相続センターが、客観的な立場で解説します。
まずは以下に、今回の内容を整理した表をご覧ください。
費用の構成 | 費用相場 | |
相続登記を自分で行う | ①登録免許税②必要書類の取得費用 | 数千円~5万円 |
相続登記を司法書士に頼む | ①登録免許税②司法書士への報酬 | 3万円~25万円 |
この表をふまえたうえで本文を読み進めていくと、内容の理解が深まるはずです。
必ず発生する相続登記の費用は主に2種類【自分で行う場合】
以下は、自分で相続登記を行う場合に、必ず発生する費用を紹介します。
①登録免許税
登録免許税とは、不動産、船舶、航空機、会社、人の資格などについての登記や登録、特許、免許、許可、認可、認定、指定および技能証明について課税される税金のことです。
簡単に言うと、何かしらの権利や資格を取得したり、変更したりする際に、国に支払う税金のことです。
【不動産の場合の登録免許税】
税額は不動産の評価額に応じて決まります。固定資産税評価額の0.4%が一般的な計算方法です。ただし、住宅用建物など、一部の不動産については軽減税率が適用される場合があります。
②必要書類の取得費用
戸籍謄本、住民票などの取得費用 | 相続人や被相続人の戸籍謄本、住民票などを取得する費用です。 |
登記簿謄本等の取得費用 | 登記簿謄本や固定資産評価証明書などを取得する費用です。 |
印紙代 | 登記申請書などに貼る印紙代が必要です。 |
相続登記を自分で行う場合の「見えない費用」も考慮しよう
以上、相続登記を自分で行う場合に発生する費用について紹介しました。
しかしここで注意が必要です。
相続登記は、
- 法律を理解する手間
- 書類を用意する手間
- 登記に必要な情報を集める手間
- 法務局に足を運ぶ手間
といった、目に見えない費用も発生しているのです。
わかりやすくいえば、「時間」というコストです。
これを経済学では「機会費用」といいます。
機会費用とは、ある選択肢を選んだ際に、選ばなかった他の選択肢から得られたであろう最大の利益のことを指します。つまり、あるものを得るために失ったものの価値のことです。
相続登記を自分で行うという選択は、登記にかかる様々な時間を犠牲にします。
休日を返上して作業しなければならない場合もあるでしょう。
法務局は土日は休みなので、わざわざ有給を使って平日に出向かなければなりません。
書類に不備があれば、また法務局に行く必要があります。
そもそも、書類を揃えるのも一苦労です。
バタついている間にも、相続登記の期限は刻一刻と迫ります。相続開始から「3年」という期限はありますが、忙しさにかまけて「あとでいいや」と先送りにしていると、あっという間にタイムリミットがやってくるものです。
このように、手間暇に費やす時間をトータルで考えると、精神的な側面を含めて、思っていたよりも費用が高くつくように思えます。
こういった手間・煩わしさを考えれば、お金を払って相続登記を0から10までプロに丸投げしたほうが、結果的に“得”であると考えることができますね。
相続登記は2024年4月から義務化になる
以上のことをふまえると、当然「相続登記を自分で行うのは、面倒そうだな……」と思った方もいることでしょう。
実際その通りで、相続登記の手続きを、司法書士などのプロにまかせる人が多いのが現状です。
しかし、プロにまかせるのも億劫、費用がかかるのは嫌だという理由で「相続登記をしない」という選択をとることはできません。
なぜなら相続登記は、2024年から義務化されたからです。
【相続登記の義務化の具体内容】
登記の期限 | 相続開始を知った日から3年以内に登記手続きを行う必要があります。 |
罰則 | 期限内に登記を行わない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。 |
過去の相続も対象 | 2024年4月1日以前に相続が発生した場合も、2027年3月31日までに登記を行う必要があります。 |
つまり、どのみちわたしたちは、
- 相続登記を自分で行う
- 相続登記を司法書士にまかせる
の二択から一つを選ばなければならないのです。
プロに相談する場合に発生する費用
多くの場合、相続登記の手続きは、司法書士などのプロに依頼します。
なぜなら司法書士は、主に不動産の名義変更や遺産分割協議書の作成など、法的な手続きを専門とする国家資格者だからです。
司法書士への報酬は、不動産の評価額や手続きの複雑さによって異なります。
一般的に、土地と家屋1件あたり5万円~10万円が相場ですが、司法書士によって料金設定は異なります。複数の司法書士に見積もりを依頼し、比較検討することをおすすめします。
【司法書士に相続登記を依頼した場合の総費用】
登録免許税+必要書類を用意する費用+司法書士への報酬
相続登記の費用をシミュレーションしてみよう
例えば、固定資産税評価額が1,000万円の不動産を相続した場合、
登録免許税は約4万円(1,000万円×0.4%)となります。
司法書士報酬が10万円の場合、
合計で約14万円の費用がかかることになります。
その他、もろもろの雑費(書類を用意する費用など)は、司法書士によってバラつきがありますので、それについては当事者同士で相談するとよいでしょう。
※固定資産税評価額を知る方法※
①納税通知書を確認する
毎年4月頃に送付される固定資産税の納税通知書に、固定資産税評価額が記載された「課税明細書」が添付されています。この明細書を確認するのが最も簡単な方法です。
②固定資産税評価証明書を取得する
市区町村の役所で、固定資産税評価証明書を申請することで、詳細な評価額を確認することができます。
まとめ
相続登記にかかる費用は、不動産の評価額や手続きの複雑さによって異なりますが、登録免許税と司法書士報酬が主な費用となります。
費用を抑えたい場合は、自分でできる範囲の手続きを行うことも検討できます。しかし、専門的な知識が必要な手続きであるため、誤った手続きをしてしまうリスクも伴います。
専門家である司法書士に相談することで、安心して手続きを進めることができます。相続は、人生における大きな出来事の一つです。専門家のサポートを受け、スムーズに手続きを進めましょう。