
亡くなった人の預金が少額でも、ほとんどの場合、取り扱いは通常の預金と変わりありません。しかし、例外があったり少額が故に起こってしまうトラブルも存在します。
そこで今回は、多くの相続トラブルを解決してきた札幌大通遺言相続センターが、亡くなった人の預金が少額だった場合の対処方法や預金を引き出す前の注意点、問題なく預金を引き出すための方法について解説します。
知らず知らずのうちにトラブルを引き起こさないよう対処法を学んでいきましょう。
亡くなった人の預金が少額の場合の相続手続き
一般的に「少額の預金」は100万円以下を指すことが多いです。少額である場合、通常の預金と取扱に差が出ることがあります。参考までに、不動産の相続手続きは、評価の低い不動産でも高い不動産でも手続きに差は出ません。
亡くなった方が「ゆうちょ銀行」を利用していた場合の少額払戻しを例として紹介します。
ゆうちょ銀行を利用していた場合
本来、相続手続きを行い遺産分割協議などが終了した後に預金を引き出せるようになりますが、100万円以下の場合は「代表相続人」が単独で引き出せる可能性があります。
ゆうちょ銀行窓口に訪れ、貯金が少額かどうかを判断してもらいます。もし少額と判断された場合、その後の手続きは代表相続人一人で行えることとなり、貯金に限っては相続人全員で集まる必要が無くなるメリットがあります。
ただし、100万円以下であれば無条件というわけではなく、最終的な判断はゆうちょ銀行側で行われる点には注意しましょう。
次に、放置した場合と、ゆうちょ銀行以外を利用していた場合についても紹介します。
そのまま放置しても罰則はない
亡くなった方名義の銀行口座を放置しても、法律上の罰則などはありません。
また、相続登記のような法定の期限も存在しません。
しかし、長期間放置した場合、引き出す時に手間がかかる可能性が高くなります。例えば、銀行が死亡の事実を確認した際には口座が凍結される、最終異動日から10年間経過した預金は休眠口座になってしまうなど、引き出すための解除手続きが必要となるケースも少なくありません。
ゆうちょ銀行以外を利用していた場合
原則、各金融機関所定の相続手続きを経た後、引き出せるようになります。
ただし、少額預金の場合は、ゆうちょ銀行と同様に「代表相続人」が単独で引き出しできるケースもありますので、詳細は各金融機関の窓口で確認しましょう。
通常の相続手続きでは、金融機関により多少異なるものの、戸籍謄本(亡くなった人の出生から死亡までのもの、相続人全員の現在のもの)や相続人全員の印鑑証明書などが必要になります。
なお、口座凍結について詳しくは以下の記事で解説しています。あわせてご覧ください。
相続後に口座が凍結されてしまう!流れと事前にできる準備、解除方法を相続のプロが解説します
預金を引き出す前の注意点
預金を引き出す前の注意点としては大きく2つあります。どちらも「少額だから…」と気軽に下ろしてしまうと発生するトラブルのため、それぞれ見ていきましょう。
注意点1:引き出した時点で亡くなった人の借金も相続対象になる
引き出した時点で、相続を単純承認したとみなされるケースが多く、借金など負の遺産についても相続することになってしまいます。
借金や不要な土地などが多く、相続放棄を考えている方は、口座からお金を引き出さないようにしましょう。
注意点2:遺産分割協議時のトラブルに発展する可能性がある
預貯金は相続人が一人の場合や、遺言で示されている場合などを除き、相続人全員での遺産分割協議を行い、誰にいくら配分するかを決めなくてはいけません。
預貯金の仮払い制度を利用すれば一定額は引き出せますが、これが原因で遺産分割協議時、トラブルに発展するケースもあります。
可能であれば引き出さず、どうしても必要な場合は相続人全員の了承を得てから利用するようにしましょう。
遺産分割協議を行うには相続人全員の参加が必要

遺産分割協議は相続人全員で行う必要があります。また、書類には各相続人の自署および実印の押印が必要となるため、遠方に親戚がいる場合など集めるのが大変な場合もあります。
ご自身で作成するのが困難な場合は、プロに依頼するのも一つの手です。しかし、費用がかかってしまいますので、以下の記事で遺産分割協議の解説をお読みいただいた後にご判断ください。
【争続を防ぐ】遺産分割協議書とは?協議の流れや書き方・注意点を解説
問題なく預金の引き出しを行うには
問題なく預金の引き出しを行うには以下のことを確認しましょう。
- 相続放棄の意思は無いか
- 相続人全員の許可は取ったか
- (遺産相続協議前の引き出しの場合)故人のための不可欠のお金か
預金の引き出しや相続放棄をする場合、遺産分割協議書の作成でお悩みの場合などは、相続の専門家へ相談するとスムーズに手続きを進められます。
札幌大通遺言相続センターでも無料相談を実施中です。相続でお悩みのことがございましたら、何でもお気軽にご相談ください。
ラインでの受付も実施しておりますので、お気軽にご相談ください。
まとめ
今回は亡くなった人の預金が少額の場合について解説しました。最後にポイントを振り返りましょう。
- 基本は亡くなった人の預貯金が少額の場合でも取り扱いは変わらない
- 例外的に「100万円以下」の場合は手続きが簡易になる可能性がある
- 引き出す時は「相続放棄しないこと」「相続人全員の許可があること」「(遺産相続協議前の引き出しの場合)故人のための不可欠のお金であること」を確認する
預貯金の名義変更手続きにつきましては、以下の記事に情報を記載しております。あわせてご覧ください。
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