「終活のためにすでに遺言を書いていたのだが、知り合いに“家族信託がいいよ”と言われた。遺言と何が違うの?」
「家族信託は遺言よりも優先されるって本当?」
北海道内でも豊富な相談実績を誇る札幌大通遺言相続センターは、家族信託と遺言の違いに関するご質問がしばしば寄せられます。
結論からいいますと、家族信託と遺言には違いがあるのですが、もしもアパートや不動産を管理・運用されているなら、「どちらかを選ぶ」のではなく「家族信託と遺言を併用する」という選択をおすすめします。
以下では、家族信託と遺言の違いについて詳しくみていきましょう。
- 家族信託の契約内容は遺言書よりも優先される
- 遺言書は一次相続まで、家族信託は二次相続まで有効
- 家族信託と遺言を併用することは可能
- 併用を前提で財産の行方を管理するのがベター
家族信託と遺言の違いとは?
家族信託と遺言は、死亡した後の財産の行方について本人の意思を反映できるという点では本質的に同じなのですが、優先度と有効範囲の点で違いがあります。
【違い①】家族信託は遺言よりも優先される
まずは「家族信託の効力は遺言書よりも強い」と理解しておきましょう。
たとえばある人が、次のような順番で財産の行方を決定したとします。
- 終活のために遺言書で「経営しているアパートは長男に承継する」と書いた
- その後、知人から家族信託をすすめられたので、「経営しているアパート管理は次男にまかせる」という内容で契約した
この場合、「先に遺言書で長男にアパートを譲ると書いたのだから、そちらが優先されるのでは」という疑問の声があるかもしれません。
しかし順序に関係なく、あくまでも家族信託が優先されます。というのも、一度家族信託契約を結んで他者にアパート管理を任せると、その財産は「信託財産」として扱われ、本人の財産ではなくなるからです。
そのため、遺言書に書いている内容よりも、現在進行中の契約である家族信託の内容が優先されることになります。
【違い②】遺言は一次相続までだが家族信託は二次相続以降も指定できる
「一次相続」とは、両親どちらかが死亡後に、配偶者または子供が相続人として財産を承継することを指します。
一方で「二次相続」とは、一次相続の相続人が亡くなってからの財産承継のことを意味します。
つまり、相続人の数・構成に違いがあるのです。たとえば夫が亡くなって発生する一次相続では「残された妻と子」が相続人で、それから妻も亡くなると、二次相続では「子のみ」となりますよね。
もしもあなたが不動産やアパートといった資産を持ち、管理・運用しているなら、家族信託と遺言が一次相続と二次相続のどちらで効力を持っているのかをよく理解しておかなければなりません。
結論からいいますと、遺言書の有効範囲は一次相続まで、家族信託の有効範囲は二次相続にまで及びます。
つまり家族信託は、本人が死亡した後の財産の行方を、遺言書よりも長い期間で自分の意思を反映させることができるわけですね。
家族信託が向いている人
- 病気・事故・認知症になったときを考えて、生前のうちに財産管理を誰かにまかせたい
- 二次相続を視野に入れて財産の管理・運用を指定したい
ただし、二次相続が発生する場合、一次相続に比べて相続税が高くなるため、相続人に大きな負担をかけてしまう恐れがあります。家族信託を契約する場合は、あらかじめ、二次相続の相続税対策を行っておくことを強くおすすめします。
家族信託と遺言は併用することも可能
「家族信託と遺言、どちらかしか利用できないの?」
「せっかく遺言書を書いたのに、家族信託を契約すると意味がなくなるのかな?」
と疑問を持たれる方もいらっしゃるかしれませんが、ご安心ください。実は家族信託と遺言を併用することも可能です。
家族信託は、あくまでも指定した財産の管理・運用を任せる契約ですので、信託していない財産の行方については、依然として遺言の効力が適用されます。
信託していない財産とは、もちろんあなたの預貯金や車も含まれています。
ですから、「家族信託さえ契約していれば遺言については考えなくていい」のではなくて、「家族信託と遺言を併用して財産の行方を守る」というのが基本的なスタンスだといえるでしょう。
まとめ
- 家族信託の契約内容は遺言書よりも優先される
- 遺言書は一次相続まで、家族信託は二次相続まで有効
- 家族信託と遺言を併用することは可能
- 併用を前提で財産の行方を管理するのがベター
札幌大通遺言相続センターは、北海道内でも高い相談実績を誇る、遺言・相続・民事信託/家族信託のプロ集団です。
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