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相続登記

20年以上音信不通の相続人の住所を調査し遺産分割を実現した事例

相続手続きを進めたいが、相続人の一人と長年連絡が取れない。こうした状況は、実務上決して珍しいことではありません。遺産分割協議は相続人全員の合意が必要であり、一人でも欠けたまま手続きを進めることはできません。連絡先がわからない相続人がいる場合、まずその方の現在の所在を把握することが最初の課題となります。本記事では、20年以上交流のなかった長男の住所を調査し、自宅不動産の相続手続きを完了させた事例をご紹介します。

相続人との音信不通が手続きの壁となった状況

ご相談者は、被相続人の妻でした。相続人は妻、長男、長女の計3名です。妻と長女は同居していましたが、長男とは20年以上にわたり交流がない状態でした。不仲というわけではなく、年月の経過とともに自然と連絡を取らなくなったというケースです。相続手続きを進めるにあたり、長男の携帯電話に連絡を試みたところ、現在使われていない旨のアナウンスが流れ、連絡手段が断たれていることが判明しました。

相続財産は主に自宅の土地と建物です。ご相談者は、将来的に自宅を売却処分することも視野に入れており、今回の相続を機に不動産の所有者を自分にしておきたいとのご希望でした。そのためには、不動産を相続するのは妻であることを相続人全員が合意していることが必要です。不動産の名義変更の手続き(相続登記)では、相続人全員の署名捺印がなされた遺産分割協議書によってその合意を確認しますので、長男の所在がわからないままでは、手続きを一歩も前に進めることができません。

戸籍の附票を活用した所在調査と連絡の実現

まず行政書士が相続人とその住所地を確定するために、相続関係説明図を作成する業務をお受けしました。被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を収集し、これにより相続人が妻、長男、長女の3名であることを確定させました。

次に、長男の現在の所在を把握するために取得したのが戸籍附票です。戸籍附票とは、本籍地の市区町村が戸籍とともに保管している書類で、その戸籍に在籍している間の住民票上の住所の異動履歴がすべて記録されています。住民票が現在の住所地の市区町村で管理されるのに対し、戸籍の附票は本籍地の市区町村で管理されるという違いがあります。つまり、相手の現住所がわからなくても、本籍地さえ判明していれば戸籍の附票を請求することで現在の住民票上の住所を確認できるのです。

戸籍の附票から判明した住所への手紙送付

今回のケースでは、相続手続きの過程で収集した戸籍から長男の本籍地が判明しており、そこから戸籍の附票を取得することで、長男の現在の住民票上の住所地を特定することができました。この調査結果をご相談者に報告し、戸籍の附票に記載された住所宛てに手紙を送付することを提案しました。

妻と長女は、父が亡くなったことの報告、相続手続きへの協力のお願い、そして連絡先を記載した手紙を長男に送付しました。結果として長男から連絡があり、無事に相続手続きへの協力を得ることができました。

遺産分割協議書の作成と相続登記の完了

長男との連絡が取れたことで、相続人全員による遺産分割協議が可能となりました。協議の結果、妻が自宅の土地建物を含む一切の相続財産を取得する内容で合意が成立し、行政書士にて遺産分割協議書を作成しました。相続人3名それぞれに実印での署名捺印と印鑑証明書の提供をいただき、書類一式が整いました。
遺産分割協議書の完成後、不動産の相続登記については提携する司法書士が対応しました。相続登記とは、不動産の名義を被相続人から相続人へ変更する手続きであり、法務局への申請が必要です。行政書士が戸籍収集と遺産分割協議書の作成を担当し、司法書士が登記申請を担当するという士業間の連携により、ご相談者の負担を最小限に抑えながら手続きを完了させることができました。

連絡の取れない相続人がいる場合に知っておきたいこと

本件のように、相続人と長年音信不通であっても、戸籍の附票の活用により所在を把握できるケースは多くあります。戸籍の附票は住所の異動履歴を網羅的に記録しているため、相手の現住所がわからない場合に非常に有効な調査手段です。ただし、戸籍の附票に記載された住所に実際に居住しているとは限らない点には注意が必要です。住民票を異動せずに転居している場合には、別途の対応を検討する必要があります。
また、連絡が取れたとしても、遺産分割の内容について合意が得られるかどうかは別の問題です。今回は相続人間に争いがなく円満に協議がまとまりましたが、長年の疎遠から感情的なわだかまりが生じるケースもあります。専門家を介して連絡を取ることで、冷静かつ丁寧なやり取りが可能になり、協議の成立に向けた環境を整えやすくなります。
不動産の相続手続きは、放置すると将来の売却や建替えの際に大きな障害となります。連絡の取れない相続人がいることで手続きを諦めてしまう前に、まずは行政書士にご相談ください。戸籍と附票による相続人とその住所地の確定から遺産分割協議書の作成と司法書士や場合によっては弁護士といった提携専門家と協力することで、一貫したサポートを提供いたします。

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