相続登記が義務化される前に知っておきたい5つのこと 土地所有者は要チェック!
所有者が不明で活用できない空き地や空き家が増えており、その原因は相続登記の未実施および住所変更の不備にあると言われています。
この問題を踏まえ、2023年を目処に相続登記が義務化されることになりました。
相続登記義務化にあたって、土地所有者が気になる5つのポイントをまとめました。
目次
どうして相続登記しないといけないの?
まずは、相続登記をしないことで起こる問題について見ていきましょう。
現在、相続登記は義務ではありません。
そのため、費用や手間を惜しみ、相続登記を行なっていない相続人がいるのも事実です。
相続登記をしなかった場合、固定資産税の納税通知書は亡くなった方宛に届くことになります。納税義務がなくなるわけではありませんので、固定資産税は相続人が支払うことになりますが、所有者と納税者がチグハグになってしまいます。
また、名義人は既に亡くなっているため、都市開発に伴う売買契約ができず、相続人が借入の際に担保にすることもできません。
加えて、所有者が明らかでない家や土地が増えることで、老朽化に伴う危険性も考えられます。
土地・建物を相続した本人だけでなく、それらを有効活用したいと考える行政や民間企業、周辺住民にとって、相続登記問題がボトルネックとなっているのです。
相続登記はいつから義務化されるの?
相続登記は、2021年2月10日に法制審議会において、民法・不動産登記法の改正案が決定されました。
今後、3月に閣議決定、国会での成立を経て、2023年に施行される予定になっています。
まだ国会で成立していないため、現段階では見通しでしかありません。
現在は改正案の要綱が示されている状況で、改正に伴う様々な措置や関連する法律の見直しといった詳細については、今後において詰められていく予定となっています。
相続登記が義務化されたら、どんなメリットとデメリットがあるの?
それでは、相続登記が義務化された際に考えられるメリットとデメリットを考えてみましょう。
デメリットとしては、相続登記にかかる金銭的な負担、登記手続きの負担が挙げられます。
しかし、法改正に伴って、
「代表相続人1人で登記手続きができる」、
「一定期間届出がなければ、法定相続分に従って遺産を分配する」、
「行政が死亡者を把握し登記に反映する」、
「被相続人の持つ不動産一覧を発行する」
といった登記手続きの負担を減らす方法が考えられているため、相続登記へのハードルが低くなる可能性も大いにあるでしょう。
メリットとしては、名義人が明らかになるため売買や担保設定が可能となること、併せて土地・建物の活用が容易になることが挙げられます。
空き家や空き地の管理が行いやすくなるため、周辺へ危険を及ぼす可能性も減るでしょう。
相続登記問題によるボトルネックが解消され、経済活動がスムーズに流れるようになるのです。
相続登記しないとどうなるの?
相続登記をしていない不動産を持っている方、あるいは不動産を相続する可能性のある方にとって、相続登記をしない場合の罰則は非常に気になるポイントです。
現在、示されている要綱では、
「相続から2年以内に相続登記申請しなければ10万円以下の過料」、
「住所や氏名の変更においても、2年以内に登記申請しなければ5万円以下の過料」、
「法人の場合、本社の登記変更申請をしなければ過料」
という罰則が科せられることになっています。
罰則を定めることによって、持ち主が分からない不動産が減らす効果が期待できるでしょう。
不動産の管理には手間も費用もかかりますが、相続登記義務化に併せて、管理できない土地を放棄する制度も作られる予定です。
相続登記義務化にむけて、今できることは?
もし、自分自身、あるいは自身の親族が相続登記を行なっていない不動産を持っているならば、早めの登記手続きをおすすめします。
「すぐに売買や担保設定ができない」、「管理が行き届かず危険」といったデメリットだけでなく、将来的に相続する子や孫に大きな負担をかけることになるからです。
相続登記されていない期間が短ければ手続きも比較的容易ですが、代々相続登記を行なっておらず、何世代にも渡って相続人を遡らなければならないケースでは、手間も費用も膨大です。
場合によっては、裁判を行わなければならない可能性もあり、当然その分費用も嵩みます。
相続登記が義務化されていない今のうちであれば、相続人が複雑であっても、時間をかけて辿り、各々から合意を得ることができるでしょう。
不動産の所有者を明らかにしておくことで、将来的な相続人の負担を減らすことができます。
相続登記義務化となる理由、メリットやデメリット、相続登記しなかった場合の罰則から、義務化にあたって今できることまで、お伝えしました。
現在は見通し段階のものが多く、詳細は煮詰まっていませんが、相続登記義務化は引き続き注目していきたいトピックです。
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