家族信託で覚えておきたい「損益通算禁止規定」についての注意点まとめ

損益通算とは?

「損益通算」という四字熟語のような字面からか、「難しそう・・・」と感じる方もいるかもしれませんが、理屈自体はとても簡単です。

たとえば、2つの事業をしている方がいたと仮定しましょう。

事業Aで100万円の利益が出て、事業Bで50万円の損失が出たときに、利益から損失を差し引ける可能性があります。下記のようなイメージです。

100万円(利益)50万円(損失)最終利益50万円

利益から損失を差し引くことで最終利益を減らせました。これによって結果的に「課税される所得を減らせる」という大きなメリットがあります。

参考までに、所得税の金額の計算上損失が生じた場合に、損益通算の対象となる所得は次の所得です。

  1. 不動産所得
  2. 事業所得
  3. 譲渡所得
  4. 山林所得
    

以上を踏まえた上で、次項(家族信託における損益通算禁止規定のポイント)をみていきましょう。

家族信託における損益通算禁止規定の注意点

損益通算の注意点は以下の2点です。

注意点①:「信託不動産の損失は信託財産以外の所得と通算できない」

注意点②:「複数の信託契約間の損益は通算できない」

ここからは具体例を元に解説していきます。

アパート2棟を所有する高齢のお父さんの例

たとえば、賃貸アパートを2棟所有している高齢のお父さんが、アパートAを信託財産に入れて長男に管理を託し、もう一つのアパートBは所有権財産のまま自分が管理するとします。

具体例1:信託財産が収支プラス、所有権財産が収支マイナスの場合

信託財産であるアパートAからの収支が年間プラスである一方、所有権財産であるアパートBからの年間収支がマイナスの場合、プラスとマイナスを損益通算して申告することになります。

具体例2:信託財産が収支マイナス、所有権財産が収支プラスの場合

信託不動産たるアパートAからの年間収支がマイナスである一方、所有権財産たるアパートBからの年間収支がプラスの場合、アパートAにおける不動産損失はなかったものとみなされるので、アパートBの所得がすべて所得税の課税対象となってしまうことになります。

これが注意点①の損益通算禁止規定に該当するケースになります。

信託契約が2本あるときに、片方の信託契約の収支がマイナスの場合

アパートAとアパートBを別々の信託契約で管理を任せた場合についても注意が必要です。

アパートAを信託財産とする「信託契約 A’アパートBを信託財産とする「信託契約 B’の2本の信託契約がある場合、年間収支の計算は信託契約ごとに完結しなければならず、契約をまたいだ損益通算はできないというものです。アパートAの年間収支がマイナスであれば、損失はなかったものとみなされるので、アパートBの所得がすべて所得税の課税対象になります。

これが注意点②の損益通算禁止規定に該当するケースになります。

 

家族信託は「契約」に基づき開始されるため、認知症になってしまうと利用することができません。認知症対策をはじめとする生前対策は元気なうちにしかできません。族会議を開き、お互いの理解を深め、今後どうするかを検討していきましょう。


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