トラブルを未然に防ぐために!家族信託に潜むリスクと回避方法を押さえよう

最近よく耳にするようになった家族信託。その制度の特徴として、認知症対策としての一面をもつため、高齢化社会のこれからの時代には期待できる制度でしょう。一方で、場合によってはトラブルをの原因となるリスクが潜んでいるのをご存知ですか?

そこで今回は、家族信託に潜むリスクやトラブルを避けるための方法を解説していきます。

★本記事の内容

  1. 家族信託に潜むリスク
  2. トラブルを避けるために

上記の内容に沿って解説していきます。

家族信託に潜むリスク

受託者に権限が集中する=不公平感

相続トラブルの最大の原因は、「不公平感」です。それが法律にのっとったものであったり、遺言に沿った相続でも、思ってたよりも相続財産を受け取れなかった人の不満は不公平感となり、不協和音を生み出します。

家族信託では、相続人もしくはそれ以外の人を受託者として財産の管理を任せることになります。そのため、ある一定の人に権限が集中することに対して不公平感を持つ人がいるというのは容易に想像がつくでしょう。

損益通算ができない

受託者がすでに他の事業をやっていたり、不動産投資をしていて、その収益で税金が発生しているとします。家族信託で管理を受託する財産で赤字が出ていたら、それを他の事業で出ている黒字と通算して税金対策をしようと考える人が出てきても不思議ではありませんが、残念ながらそれはできません。

信託財産は赤字が出ていても他の損益と通算することができないので、受託したからといって節税になるという法制度ではありません。

赤字不動産の信託を、税金対策という目的で受託しようとお考えの方は注意してください。

成年後見制度よりも管理能力が弱い

家族信託は「成年後見制度」とよく比較をされます。

認知症になった人の保護という目的で成年後見制度がありますが、この成年後見制度と家族信託は「何を守るか」という意味において本質的に目的が異なります。

家族信託は「財産を守ることを目的としているのに対し、成年後見制度は「本人を守ることが目的です。成年後見人の場合には「身上監護の義務」が発生して、住居を確保したり、介護が必要な場合には介護施設などの入所も法定代理人として代行したり出来ます。

しかし、家族信託の受託人は法定代理人ではありません。あくまで信託された財産を管理、運用するのが義務です。ですから、介護などの手続きでは別に任意後見契約をしておくほうがよいでしょう。

もっとも、家族信託をされるほどの人なのですから、周囲の家族からも信頼されている人である可能性が高く、事実上の成年後見人のように本人の保護にも関与できるケースは多いと思います。

税務申告に手間がかかる

家族信託を始めると、税務署への申告義務も発生します。

信託財産から年間3万円以上の収入がある場合は、信託計算書・信託計算書合計表を、不動産所得がある場合、信託財産の明細書を作成しなければなりません。

信託できる財産に制限がある

家族信託では、信託できる財産に制限があります。相続対象の財産すべてを信託契約することは出来ないのです。このため、いくら家族信託によって信託契約を結んでいても、対象とならない財産に関しては、遺言書を作成して遺産の承継先を明文化しておく必要があります。

金融機関の承諾が必要

家族信託をする財産には、アパートなどの収益不動産が含まれることが非常に多いです。

ところが、収益不動産を建設・購入する際には、金融機関から借入を行うのが一般的ですので、信託財産とする収益不動産に抵当権等の「担保権」が設定されているケースがあります。信託による場合に限らず、担保権が設定された不動産の名義変更を行う場合には、事前に金融機関の承諾が得る必要があります。この承諾を得ないまま家族信託を開始してしまうと、金融機関との契約違反となり、場合によっては一括弁済などを求められる可能性があります。

金融機関の承諾を得ないまま信託を開始するのは、非常に危険です。十分に注意しましょう。

トラブルを避けるために

家族信託は成年後見制度や遺言書を補える特徴を持っており、応用範囲が広い一方で、まだまだ歴史的には浅く、制度自体やその仕組みも広くは知られていないのが現状です。家族信託において、トラブルを未然に防ぐための方法を最後にご紹介していきます。

話し合いが大切。家族間での理解を深める

家族信託は、一定の人に権利が集まることから不公平感や不信感が生じやすい面があるため、家族間でしっかり話し合いをし理解を深めたうえで始めることが重要です。

特に、受託者を決定する際は、委託者の意向だけでなく、受託者本人はもちろん、家族間でも合意を得ておくようにしましょう。

遺言書や後見人制度などと比較

認知症などにより判断力がなくなった後の財産管理に利用できる制度には、家族信託以外にも、遺言書や後見人制度があります。

家族信託を利用したい場合は、比較できる正確な情報を集め、それぞれの特徴を比較した上で、適切な方法を選ぶことが大切です。

税金対策として赤字不動産を信託しない

信託財産は赤字が出ていても、他の損益と通算ができません。受託をした人からすれば、赤字を垂れ流している不動産を任されただけで他の収入と通算ができないため、赤字+税金という持ち出しになります。

税金対策として機能している財産を家族信託に含めるかどうかは、節税メリットとの損得を入念にお考えください。

無理そうなら必ず専門家に相談する

さまざまな家族信託のトラブルを未然に防ぐためには、専門家に相談しましょう。また、トラブルに見舞われた場合でも、家族信託に精通した専門家の手を借りていれば容易に解決することも可能でしょう。

おわりに

家族信託を上手に利用するには、相互の理解と信頼関係がとても大事になってきます。家族間の仲が悪かったり、年に数回しか会話をしないような場合であれば上手くいかないケースが多いです。

柔軟に応用がきく家族信託ではありますが、遺言書や後見人制度の利用も視野に入れ、専門家のアドバイスを受けながら、最も適切な方法を選択することが大切です。


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