父親が亡くなって、母親は認知症…。相続権はどうなる!?早めに専門家に相談して対策を取ろう!

50~60代になってくると、父親が亡くなるという状況が多くなってきます。相続人は、妻(母親)、兄弟、自分となるパターンがよくあります。

しかし、母親は認知症で寝たきりに近い状態だった場合、お母さんに相続権はあるのでしょうか?
遺産分割協議はどうすればいいのでしょうか?

高齢化が進んでいるこの世の中で、今後は遺産相続に関するこのような相談が間違いなく増えてくるものと思われます。少しでも知識を持ち、騙されたり、トラブル起きないように準備をしましょう。

【認知症の相続権は?】

相続人が認知症や知的障害などで相続した財産を管理できないことが予想される場合、相続権はどうなってしまうのかというと、権利は当然にあります。

ですが、重度の認知症や重度の知的障害の人は、銀行預金の名義の書き換えなど、相続に必要な書類を書くことはできません。そこで、元気な兄弟姉妹や子供がついつい「家族だからいいだろう」と代筆したくなりますが……

ちょっと待って! これは犯罪です。

たとえ実の子供が書いたとしても、私文書偽造の罪に問われる可能性があります。

遺産分割協議は相続人全員で行うことが必要です。
しかし、ただ全員でやればいいというわけではありません。相続人全員が十分な判断能力を有していることが必要です。
相続人中に認知症等で判断能力の低下が見られる方がいるような場合には、その相続人ご本人を交えた遺産分割協議は無効となる可能性があります。

このようなケースでは、次の2つの方法が考えられます。

・未分割のまま(その人が亡くなってから、その人の相続人が分割)
・「成年後見制度」を利用し成年後見人が法定相続分で遺産分割

 

【起きやすい問題点】

不動産に関しては、とりあえずは亡き父名義のまま放置しておき、母が亡くなってからあらためて残った相続人で遺産分割協議を行って、特定の相続人名義にする方法もあります。

しかし、父の死亡により残された認知症の母が自宅で一人暮らしをすることが難しくなるため、その自宅を売却して介護付老人ホーム等に入所する費用をまかないたいような場合、相続登記をしないと不動産が売却できないため、問題となります。

預貯金に関しては、金融実務では相続人全員の署名押印が揃った遺産分割協議書か金融機関所定の書面を提出しないと、名義変更や解約ができません。
これも、単に署名や押印を揃えればいいというものではなく、各相続人が自らの意思をもって署名や押印を行う必要があるので、問題となります。

そこで、成年後見人を選任してもらう必要があります。そして、選任された成年後見人が母を代理して、それ以外の相続人全員との間で遺産分割協議を行うことになります。

 

【成年後見人制度は「2パターン」】

成年後見人制度についてはこちら

成年後見制度とは、判断能力が十分ではない方(認知症、精神疾患等)の日常生活を、ご本人の意思を最大限尊重しながら代理人を付け支援していく制度です。その代理人を成年後見人と呼びます。成年後見人が母親を代理して、他の相続人とともに遺産分割協議を行います。

本人の判断能力が衰える前から準備できる「任意後見制度」と、判断能力が衰えた後に手続きをする「法定後見制度」があります。
法定後見制度は被後見人の判断能力に応じて、後見、保佐、補助の3つにわけられます。

 

●任意後見
認知症などになる前に、自分で自由に後見人の候補者(任意後見受任者)を選任します。

 

●法定後見
後見人は家庭裁判所が選任します。希望する候補者をあげることはできますが、候補者が相続関係等から不相当だと判断されると選任されません。候補がいないときは、家庭裁判所が司法書士などの専門家から選任します。

 

成年後見人がつくと財産は家庭裁判所の監督のもと、成年後見人が管理します。本人であっても自由に財産を処分できなくなりますし、周囲の親族も成年後見人の同意なく勝手に財産を使用することができなくなります。

 

【成年後見人制度の注意点】

気を付けなければならないのは、家庭裁判所からの審判で、希望する候補者(多くの場合はその子供)が選任されないなら、この制度は使いませんというわけにはいかないところです。
審判が行われる前なら申し立ての取り下げもできますが、その場合でも家庭裁判所の許可が必要となり、取り下げの理由も必要となります。

また、成年後見人は勝手に辞めることも、気に入らないからという理由だけで辞めさせることもできないので、制度を利用する前によく検討することが必要です。

さらに、成年後見人の選任には一定の費用や時間がかかります。請求すればすぐに選任されるというものではありません。また成年後見人は遺産分割協議が終われば、任務終了というわけにはいかず、相続人本人が死亡するまで任務が継続します。

 

【対策】

相続人中に認知症等により判断能力に支障がある方が含まれることが見込まれる場合には、公正証書遺言を作成する等の生前相続対策をとることをお勧めします。

遺言を遺しておけば、上記のような手間を避けることができます。

こちらの記事も参考にし、準備をしていくのが良いでしょう。

認知症になる前に絶対に遺言書をつくっておくべき理由3つ

認知症による相続問題を回避したいなら家族信託を考えるべき

 


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